【海外旅行】1979年〜80年初ロマネスク探訪4人旅(13/13)

【第8日】1980年1月4日(金) レ・ザール→サン・ブノア・シュール・ロワール→ジェルミニ・デ・プレ→パリ  日出:08:35。日没:17:06。FF1=¥60。

 ドライブ最終日。まだ「逸品」が二つ残っています。「ホテル・タンプリエ」。こんな雰囲気の良いホテルに暗くなってから着いて、一夜かぎりで、朝早く出発してしまうのは心残り、また来ようと心に決めてお別れ……9:10出発。西へ37km……。途中から「ロワール」に沿って走る。遠景はモヤで霞んでいる。
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 9:50〜11:00「サン・ブノア・シュル・ロワール(St-Benoît-sur-Loire)」の「聖ブノア修道院教会(Église Abbatiale St-Benoît)」正確には「フルーリー修道院(abbaye de Fleury)」。

 あまり一般観光では来ないところだと思います。来て、見て、ビックリしました。ロワール河畔の片田舎に、大きさも昨日のヴェズレー「サント・マドレーヌ大聖堂」に匹敵、玄関間の柱頭彫刻群、内部の身廊空間、クリプトも……素晴らしい。

 身廊部の手前に大きい「玄関間」が付いているのは「ヴェズレー」と一緒ですが,その上に「鐘楼」が付いている形は独特のものです。
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 「アンリ・フォッション」も著書「ロマネスク彫刻」の中で「現在では、静かな、ほとんど人気のない眠ったような田園の小部落に過ぎないが、かってはこの土地は広い活動の舞台となったところである。」と述べている。さらに「玄関間の柱頭彫刻」ついて数ページを割いて論説しています。

 玄関間。「ほあぐら」さんの記述

 写真は正面入口の、玄関間に林立する太い列柱である。柱頭の彫刻はいずれも大らかで、陰影豊かな夢に満ちている。エジプト逃避やエリザベス訪問など、魅力的な主題の傑作の他に、不思議な動物や蔓模様が絡み合った怪奇な図像も多い。 芸術の草創期が示すのは、いつもやや粗野ではあるが、湧き上がってくるような造形への情熱が生み出した力感溢れる作品ばかりである。11世紀半ばのこのサン・ブノアも、また例外ではなかった。ここは単に教会の玄関だったのでは決してなく、石を刻む事に命がけの石工達の壮大なアトリエだったに違いない。
---------------(ほあぐらさんの記述終了)-----------------
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 この美しい裁石は、1008〜1030年「ゴーズラン修道院長」が「ロワール川」を経由して、上流の「ニヴェルネ地方」から得たモノのようです。

 エジプト逃避。
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 エリザベスご訪問。
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 聖マルタン(4世紀のトゥール司教/フランスの守護聖人)。
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 身廊部分と祭室。かすかな「ピンク系の石」が心地よい。天井は「リヴ・ヴォールト」のゴシックですが、奥に見える祭室は「純ロマネスク」。「筆舌に尽くせない」とはこのこと……。
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 クリプト(地下祭室)。シンプルで、太くて短い柱。厚みのあるアーチ。
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 注)「サン・ブノア・シュール・ロアール」:「シュール・ロワール」は「ロワール川沿いの」という意味。「サン・ブノア」は「修道会の創始者/聖ベネディクトのフランス語表記」。
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 ロワール川沿いに僅か5km西……

 11:10〜12:15 「ジェルミニー・デ・プレ(Germigny-des-Prés)」の「旧礼拝堂(Ancienne Chapelle)」。

注)元々は、806年〜811年建造の「テオドュルフ(Theodulfus)(皇帝シャルルマーニュの側近で、サン・ブノアの修道院長)」の私的礼拝堂、ギリシャ十字型プランでした。この部分はフランスで最も古い教会堂の一つで、カロリング王朝時代の素晴らしい芸術の遺構です。13世紀には教区教会になり、15〜16世紀に身廊が作られ、19世紀に身廊増築、鐘楼が建てられ、今の形になっています。
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 教会西正面。
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 裏へ回って「旧礼拝堂」部分の外観。
 
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 身廊部から内陣(旧礼拝堂)を。
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 礼拝堂「キューポラ」。注)建築主の「テオドュルフ」さんがスペイン生まれのせいでしょうか、アーチが僅かに「馬蹄形」になっています。

 注)馬蹄形アーチ:イスラム建築に多く使われたアーチで、その影響を受けたスペインの教会でみられる、モサラベ様式という。
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 「ほあぐら」さんの記述。
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モザイクは9世紀初頭のものと伝えられているが、ラヴェンナの作品を想起させる。 正面に箱が描かれているが、これは契約の櫃とそれを取り囲む天使達の像を描いたものである。神と神に選ばれし民との契約のことだ。 櫃を囲んでいるのは、神の知恵を表すとされる智天使である。智天使は、熾天使・座天使と共に、天使軍の上級三隊を編成している。

 ちなみに、中級三隊は主天使・力天使・能天使、下級三隊は権天使・大天使・天使という布陣から成る。 外側の天使は大天使で、二人の頭の間から神の手が下へ延びている。 燦然と眩いばかりの金色モザイクだが、品格に満ちたデッサンが優雅な美しさをより高めている。
---------------(ほあぐらさんの記述終了 )-----------------
 モザイク部の拡大。
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 たまたまおられた「神父さん、わざわざ「帽子を取ってのお別れのご挨拶。(8mmシネマは鮮明な画像だったのですが、DVDにコンバート依頼をした結果が、ピンボケで暗い画像になりました。ゴメンナサイ。)
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 「第一回ロマネスク巡礼」は終わりました。一路パリへ。「オルレアン」をバイパスで通過「高速10号線」に乗る13:00。霧がだんだん深くなる。まもなく「シャルトルからの線と合流13:35。地平線は霧でハッキリしないが、このあたりも耕作地帯。パリ環状道路に入り時計方向に1/4周。「ポルト・マイヨール(Porte Maillot)」で一般道路へ。ホテルはすぐ近くでした。

 14:30 無事「ホテル・コンコルド・ラファイエット(Hotel Concorde La Fayette )」チェックイン。荷物を部屋において、すぐお出かけ。最終日なので「お買い物」です。15:00出発。

 「ドミニク・フランス」「セリーヌ」「プチバトー」「ロター」「クリストフル」「フォション」「山中」20:00に一旦ホテルに戻り、またシャンゼリゼに出掛けて食事。21:30〜23:00。

【第9日】1980年1月5日(土) パリ→機中  日出:08:44。日没:17:08。FF1=¥45。

 パリは珍しく「青空」。早々ホテルをチェックアウトし。車でシャルル・ド・ゴール空港へ。車を返し「走行距離:1531km」。料金:FFR2,686.51x (RATE) 59.33 =¥159,390 。

 AVISの精算書。契約は「ほあぐら」さんです。
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 この時期「AVISカード」会員になっていたのですが、それでもクレジットカードでなかったらしく、1月31日に東京銀行で送金小切手を作って、それを書留郵便でフランスのAVIS社へ送っているのです。40年前は、そんな時代だったのです。
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 空港では、最終お土産の購入。この時期「愛煙者」が多かったので「ジタン」2カートンとウイスキー「シバスリーガル」合計FF100。「チョコレート」FF40。「キャンディ」FF40。「マロングラッセ」FF48。デタックス(消費税返還)手続きなど。

 13:00 JAL404便。13:15 テイクオフ。すぐ軽食。アムステルダム寄港14:00~15:20。アラスカのアンカレッジ12:50~14:45(現地時間)。

【第10日】1980年1月6日(日) 機中→成田 →土浦 成田日没:16:39

 17:00着。通関後「ほあぐら夫妻」と別れる。土浦工場からA課長がお出迎えに来ていました。妻と共に愛車で「土浦」の「アパート(借り上げ社宅)」に向かう。妻は2泊して一人で小金井に戻りました。

 ---完---

 この時まで、1972年年末の「ギリシャ・ローマ」旅行以来、ヨーロッパの石の文化に魅せられて、5回の旅行をしてきましたが、今回は「ロマネスク美術」というのを知っての「自主企画旅行」でした。

 期待に違わず、ホンモノに直接対面する体験は、専門に勉強した訳でもない私達素人でも、素直に驚き、引き込まれるような感動の連続でした。

 特に「柱頭彫刻」や「軒持送り彫刻」はその機能から来る形態制限もあってデフォルメされたり、やや稚拙とも思えるプリミティヴな表現は「かわいらしさ」とともに「土の匂いがする庶民性」が感じられ「今まで知らなかった美しさ」に魅せられました。また題材が新旧約の世界にとどまらす、怪物・怪獣、動物、植物、時には性的表現などもあり、石工のイタズラかと思わせる、多岐にわたっているのが興味深いことでした。

 なお、私達が当時のめり込んでいた、国内での「双体道祖神」の彫刻などとの共通の雰囲気が感じられるのも興味をそそられることでした。

 「モンサンミッシェル」での写真集との出逢い。その前に「ほあぐら/とりゅふ夫妻」との出逢い……があっての、この旅。私の人生にとっても大きな影響を及ぼした出来事でした。このあと、20回近く「ロマネスク」を訪ねる旅をしています。

 もう一つ、この旅は「ほあぐら/とりゅふ夫妻」によって演出された「グルメ旅行」でもありました。そして「ワイン」にも関心を持つきっかけにもなりました。いろんな意味で、「記念すべき」旅行でした。

この記事へのコメント

ほあぐら
2022年04月29日 11:20
大袈裟に言えば、これ以後の人生の志向を決定づけてしまう程の影響力を秘めた旅だったんだなあ、と改めて感動しています。
 それにしても、42年前には送金小切手だったんですね。隔世の感
どころか、現在はそれ以上の別世界になってしまったんですね。
 完走、おめでとうございます。
ろまねこ
2022年04月29日 17:13
はい、「感無量」というところです。

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