「ゲルマニュームペレット厚さ自動選別機」のこと

 昭和三〇年にソニーが「トランジスタラジオ」を発売しました。
 今まで真空管だった電子機器が、半導体(個体)回路に替わって、信頼性を増すとともに、小型化になっていくスタートでした。
 この頃のトランジスタは、後のシリコンではなく、ゲルマニュームを用いたものでした。この「ゲルマニュームトランジスタ」の中核部分は「ペレット」と呼ばれる一ミリ角で厚み〇・一ミリというものでした。この厚みを出すための最終工程はエッチング作業でしたが、厚みを揃えるため、ピンセットで一つづつつまんで測定して、その厚みに応じて再エッチングの時間を決めるという人海戦術でした。
 注)エッチング (英:Etching) とは、化学薬品などの腐食作用を利用した塑形ないし表面加工の技法。
 これを自動化したのがT社の「ゲルマニュームペレット厚さ自動選別機」でした。昭和三三年のことです。
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 世界に類がないということで、アメリカにも売れました。内外合わせて六〇〇台以上売れたようです。昭和三五年には「機械学会賞」を受賞しました。
 以下は、日立製作所・門脇正氏の論文からの抜粋です。
 ペレットの厚さはゲルマニュームトランジスタでは、きわめて重要であり、全ペレットの厚さを少なくとも平均二回以上測る必要がある。これについては完全自動の厚さ測定選別機が市販されており、広く用いられている。測定は電気マイクロメータが行ない、一分類の寸法幅は3μ程度で、一〇段階に選別を行なう。処理能力は毎時三六〇〇個程度である。測定されるペレットはまとめて振動フィーダのボール内に入れて置けば、一個づつ自動的に送られて測定分類されるので、作業者一人で一〇台程度を管理することができる。
 日活映画「キューポラのある街」で吉永小百合さん演じる少女が「日立武蔵工場」で働く事になる場面で、この「ゲルマニューム自動選別機」が並んで稼動しているシーンがあります。
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 注)私は昭和三四年の入社なので、残念ながら以上の機器類の開発には貢献していません。
 T社はこの「選別機」をきっかけに「半導体製造機器・検査機器」の分野に社業を広めました。

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